
腰痛の原因として、「姿勢が悪いこと」がよく挙げられます。しかしその姿勢の乱れの背後には、筋肉のアンバランスや柔軟性の低下といった問題が潜んでいるのです。
また、私たちの筋肉はそれぞれが独立して働いているわけではなく、「筋膜」と呼ばれる膜状の組織によって全身が繋がっており、筋肉同士が連動して動く仕組みになっています。
そのため、腰痛は腰まわりの筋肉だけでなく、足や体幹部の筋肉の不調が原因になっている可能性もあるのです。
今回は、腰痛と筋肉の関係性、そして「具体的な対処法(ストレッチ)」について、理学療法の視点から解説していきます。
腰痛の原因として、椅子で簡単にできるストレッチ習慣が役立ちます。
こちらの記事で紹介しています↓↓↓
朝 ストレッチ 社会人向け|椅子でできる5分簡単ルーティン🌿
腰痛に関係する代表的な筋肉とストレッチ法
ハムストリングス(太ももの裏側)

主な働き:
- 膝を曲げる
- 股関節を後ろに引く
- 骨盤の後傾に関与
硬くなる原因:
- 長時間の座位: 骨盤が後傾位になり、ハムストリングスが固定されてしまう
- 運動不足: 筋肉を動かさないことで血流が低下し、柔軟性が失われやすくなる
- 姿勢不良(猫背・骨盤後傾): 骨盤が後傾することで、ハムストリングスが伸長され、緊張が持続しやすくなる
ストレッチ法:立位前屈ストレッチ
やり方:
- 椅子または台に片足をのせて、膝を伸ばす
- 背筋を伸ばしたまま、ゆっくり体を前に倒す
- 太ももの裏側がじんわりと伸びるところで20〜30秒キープ
- 呼吸を止めずに行い、左右交互に2〜3セット
ポイント:
- 背中を丸めずに行う
- 痛みが出ない範囲で行うこと(痛みがある場合は中止)
腸腰筋(足の付け根のあたり)

主な働き:
- 脚を上げる
- 体幹の安定
- 骨盤の前傾を保持する
硬くなる原因:
- 長時間の座位: 股関節が曲がった状態で固定され、腸腰筋が短縮して硬くなる
- 腹筋運動のやりすぎ: 腸腰筋も働くため、過緊張につながる
- ランニングの繰り返し: 過度な使用による短縮と緊張
ストレッチ法:腸腰筋ストレッチ
やり方:
- 片足立ちになり、後ろ脚の膝を床につける
- 骨盤ごと前方にスライドする
- 骨盤をやや後傾させ、お尻を軽く丸めるように意識
- 後ろ脚側の股関節の付け根が伸びる位置で20〜30秒キープ
- 呼吸を止めずに2〜3セット行う
ポイント:
- 腰を反らせすぎない
- 体を左右に捻らない
- 痛みがある場合は中止すること
臀筋群(お尻の筋肉)

主な働き:
- 股関節の伸展・外転
- 骨盤の安定
- 体の横ブレ防止
硬くなる原因:
- 長時間の座位: 臀部が圧迫されて血流が低下し、筋緊張が高まる
- 運動不足: 股関節を動かさない生活により、筋力・筋出力が低下
- 過度なトレーニング: 柔軟性と筋出力のバランスが崩れ、過緊張を引き起こす
ストレッチ法:仰向けストレッチ(4の字ストレッチ)
やり方:
- 仰向けで寝る
- 片脚を反対側の膝に乗せ、「4の字」を作る
- 下側の脚の太ももを両手で抱えて胸に引き寄せる
- お尻の筋肉がじんわりと伸びるところで20〜30秒キープ
- 呼吸を止めずに2〜3セット行う
ポイント:
- 無理に引っ張らないこと
- 腰が反らないように注意
- 痛みがある場合は中止しましょう
脊柱起立筋(背中の筋肉)

主な働き:
- 背すじを伸ばす
- 体を支える
- 姿勢を保持する
硬くなる原因:
- デスクワーク: 長時間の静的収縮で血流が悪化し、疲労物質が蓄積
- 反り腰: 脊柱起立筋が過剰に伸ばされ、緊張が高まる
- 背筋の使いすぎ: 過度な収縮により硬化し、柔軟性が低下
ストレッチ法:キャット&カウ(四つん這いストレッチ)
やり方:
- 四つん這いになる(手は肩の下、膝は骨盤の下)
- 息を吸いながら背中を反らせ、胸を開く
- 息を吐きながら背中を丸めて、おへそを見る
- この動きをリズムよく10回繰り返す
ポイント:
- 動きの中で筋肉を意識して伸ばす
- 痛みが出た場合は中止する
ストレッチする時間がない方へ
「そんなにストレッチする時間ないよ…」という方には、ストレッチポールとヨガマットの活用がおすすめです。
やり方はとても簡単で、
ストレッチポールを背中に敷き、ゆっくりと転がすだけ。
それだけでも背中まわりの筋肉が緩み、姿勢改善やリラックス効果が得られます。
僕のおすすめはこの2つのアイテムです。
手軽に始められるセルフケアとして、ぜひ取り入れてみてください。
✅ まとめ
腰痛は、単に腰の筋肉だけが原因ではなく、全身の筋肉バランスの乱れが深く関わっています。特に、ハムストリングス・腸腰筋・臀筋・脊柱起立筋といった筋肉は、骨盤や腰椎の位置を支える重要な役割を担っており、これらの柔軟性や筋力の低下が腰痛の引き金になることが多いです。
日々の生活に簡単なストレッチを取り入れるだけでも、こうした筋肉のバランスを整え、腰痛の予防・改善につながります。忙しい方でも、1日数分の積み重ねが将来の大きな不調を防ぐ第一歩になります。
そして、「姿勢」は根性や意識の問題ではなく、“仕組み”で整えるものです。正しい知識と習慣を身につけることで、無理なく快適な身体をつくることができます。
あなたの毎日がより快適で自信にあふれたものになるよう、これからも実践的でわかりやすい健康情報をお届けしていきます。
一緒に、少しずつ「健康シフト」していきましょう!
コメント