
はじめに
「朝起きても体が重い」
「デスクワークで腰が痛い」
そんな悩みを抱える社会人の方へ。たった5分の朝ストレッチを習慣にするだけで、腰痛予防・集中力アップ・ストレス軽減など、驚くほどの効果が得られます。
今回は、理学療法学生の視点から、忙しい社会人でも続けられる朝のストレッチ方法を科学的根拠とともに解説します。
まずなぜ社会人に朝ストレッチが有効かを説明します。
社会人こそ朝ストレッチが必要な3つの理由

現代の社会人は、長時間のデスクワーク、通勤のストレス、不規則な生活リズムなど、心身に負担がかかる環境で働いています。厚生労働省の令和4年国民生活基礎調査によれば、男女ともに自覚症状のトップは「腰痛」となっており、多くの社会人が慢性的な身体的不調を抱えているのが現状です。
朝ストレッチが社会人に効果的な理由は以下の3点です。
理由1:睡眠中の筋肉のこわばりをリセットできる
睡眠中、私たちの体は6〜8時間ほとんど動かない状態が続きます。その結果、筋肉は収縮したまま硬くなり、血流も滞りがちです。
朝ストレッチを行うことで、このこわばりを効率的に解消し、筋肉の柔軟性を取り戻すことができます。
理由2:自律神経のスイッチを切り替えられる
朝ストレッチは自律神経のバランスを整えます。深い呼吸を伴うストレッチにより副交感神経が刺激されリラックスしつつ、それと同時に体を動かすことで交感神経も適度に活性化。その結果、脳への血流が増え、集中力や判断力が高まります。つまり一石二鳥ということですね。
理由3:1日のパフォーマンスの基礎を作れる
朝の体調が1日全体のコンディションを左右します。朝ストレッチで体温を上げ、代謝を活性化させることで、午前中から高いパフォーマンスを発揮できる体の状態を整えられます。
朝ストレッチがもたらす医学的効果

理学療法学生として、社会人の朝ストレッチによる医学的メリットを以下にまとめます。
血流改善による疲労回復効果
ストレッチによって筋肉が伸縮すると、ポンプ作用により血液循環が促進されます。これにより酸素や栄養が全身に行き渡り、老廃物の排出もスムーズに。むくみや冷え、朝の倦怠感が軽減されます。
関節可動域の向上
デスクワークが多い社会人は、股関節や肩甲骨周りの可動域が狭くなりがちです。朝に関節を動かすことで、日中の動作がスムーズになり、怪我の予防にもつながります。
自律神経のバランス調整
深い呼吸を伴うストレッチは、副交感神経活動を高めることで入眠がスムーズになるなど、自律神経のバランスを整えます。このバランスが整うことで、ストレス耐性が高まり、感情のコントロールがしやすくなります。
腰痛・肩こりの予防
職場における腰痛は、休業4日以上の職業性疾病のうち約6割を占める労働災害となっています。朝ストレッチで骨盤周りや背骨の柔軟性を保つことは、慢性的な腰痛予防に直結します。
忙しい人社会人におすすめの朝ストレッチ5選
ここでは、椅子に座ったままできる実践的なストレッチを紹介します。パジャマのままでも、起きてすぐ実践できる内容です。
ストレッチ1:肩甲骨はがし(1分)
やり方
- 両肩を耳に近づけるように上げる(3秒キープ)
- ストンと力を抜いて肩を落とす
- 両手を肩に置き、肘で大きな円を描くように前回し5回、後ろ回し5回
- 最後に両手を背中で組み、胸を開く(10秒キープ)
効果 デスクワークで固まった肩甲骨周りをほぐし、肩こり予防と姿勢改善に効果的です。

ストレッチ2:背骨の柔軟性アップ(1分)
やり方
- 椅子に浅く座り、両手を膝に置く
- 息を吐きながら背中を丸め、おへそを覗き込む(猫のポーズ・5秒)
- 息を吸いながら胸を開き、軽く背中を反らす(5秒)
- この動作をゆっくり5〜8回繰り返す
ポイント 背骨一つ一つを動かすイメージで行いましょう。腰痛予防と猫背改善に最も効果的なストレッチです。

ストレッチ3:首・僧帽筋のストレッチ(1分)
やり方
- 右手を頭の上から左側に回し、優しく頭を右に倒す(15秒)
- 反対側も同様に行う(15秒)
- 顎を引いて頭を前に倒し、首の後ろを伸ばす(15秒)
- 天井を見上げるように首を後ろに倒す(15秒)
注意点 首は無理に引っ張らず、心地よい程度の伸びを感じる範囲で行ってください。めまいがある場合は中止してください。

ストレッチ4:ハムストリングス(太もも裏)伸ばし(1分30秒)
やり方
- 椅子に浅く座り、右足を前に伸ばす
- つま先を天井に向け、両手を太ももに置く
- 背筋を伸ばしたまま、股関節から体を前に倒す(30秒キープ)
- 太もも裏の伸びを感じたら、左足も同様に行う
理学療法学生からのアドバイス ハムストリングスの硬さは腰痛の原因の一つです。勤労者の年間腰痛発生率は54.4%で過半数を超えており、太もも裏の柔軟性不足が関係しています。毎朝続けることで、腰への負担が大幅に軽減されます。

ストレッチ5:全身伸ばしでフィニッシュ(30秒)
やり方
- 椅子に座ったまま、両手を頭上で組む
- 手のひらを天井に向け、全身を上に伸ばす(10秒)
- そのまま体を左右にゆっくり倒す(各10秒)
効果 全身の筋肉を目覚めさせ、「今日も頑張ろう」という前向きな気持ちを作ります。

こんな社会人に特におすすめ
朝ストレッチは以下のような方に特に効果的です。
- デスクワーク中心の方:長時間座ることで硬くなった股関節や背中をほぐせます
- 在宅勤務の方:通勤がない分、朝の運動不足を補えます
- 慢性的な腰痛・肩こりがある方:予防と改善の両面で効果があります
- 朝が弱い方:自律神経を整え、スムーズに目覚められます
- 運動習慣がない方:最も手軽に始められる健康習慣です
- ストレスが多い方:心身のリラックス効果があります
朝ストレッチを習慣化するコツ

せっかく始めても、続かなければ意味がありません。習慣化のための実践的なコツを紹介します。
1. 完璧を目指さない 5つすべてやろうとせず、まずは1〜2個から始めましょう。「できたらラッキー」くらいの気持ちで。
2. 時間を固定する 起床直後、歯磨き後、コーヒーを淹れる前など、既存の習慣とセットにすると続きやすくなります。
3. 記録をつける カレンダーにチェックを入れるだけでも達成感が得られ、継続のモチベーションになります。
4. 家族と一緒に行う パートナーや子どもと一緒に行うことで、楽しく続けられます。
5. まとめ|今日よりも“気持ちよく動ける明日”のために
忙しい社会人だからこそ、朝のたった5分を自分の体のメンテナンスに使う価値があります。
朝ストレッチを続けることで得られる変化:
- 慢性的な腰痛や肩こりの軽減
- 午前中からの高い集中力とパフォーマンス
- ストレスに強い心身の状態
- 前向きで安定したメンタル
明日の朝、目が覚めたら、まずは深呼吸から始めてみませんか。小さな一歩が、あなたの1日を、そして人生の質を大きく変えていきます。
今日よりも気持ちよく動ける明日のために、朝ストレッチを始めましょう。

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